施設について

和らぎ苑とは

四天王寺和らぎ苑は、大阪府下で2ヶ所目の重症心身障害児施設として、2001年4月に開設しました。四天王寺和らぎ苑がある富田林市は大阪府南部(南河内)に位置し、定員100名の重症心身障害のある方々を受け入れることが可能な入所施設を主として始まりました。開設時、在宅で生活されている重症心身障害のある方々とそのご家族が非常に多い大阪においては、この地域でショートステイなどの在宅支援の面でも頼れる施設になるということが期待されました。
時を同じくして、2001年5月に世界保健機関(WHO)総会において国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health:ICF)が採択されました(図1)。それまでの機能障害、能力障害、ハンディキャップといった「障害」の改善を中心とした「医学モデル」から、生命、暮らし、生きがいといった「生活機能」に対して、環境を含めて支援しようとする「生活/社会モデル」へと障害の概念が大きく変わったことは、これからの私たちの支援のあり方を模索していくための道標となりました。

図1 ICF:国際生活機能分類(WHO,2001)
図1 ICF:国際生活機能分類(WHO,2001)

開設以来、利用される方々の「生活の質」の向上を日々目指して支援に取り組むとともに、在宅で生活されている重症心身障害のある方々とご家族の在宅生活を支援する体制づくりをすすめ、2015年4月、四天王寺和らぎ苑に在宅支援事業が併設されました。
重症心身障害のある方々の中には、さまざまなことで困っている方がいます。呼吸や摂食嚥下といった生命維持の機能に障害がある方。立つ、座るのような姿勢や手を使うなどの運動機能の制限、さまざまな感覚を経験することやコミュニケーションといった日常の活動に制限がある方。そして、日々の目的や楽しみといった生命や生活に意味や尊厳をもたらす参加が制約されている方など。
どんなに障害が重くとも、1人ひとりのニーズを把握し、個々の潜在能力を最大限に発揮できるよう目指すリハビリテーションとともに、生命、暮らし、生きがいといった生活の質に貢献できる支援を目指してきました。
重症心身障害のある方のみならず、脳性まひ、発達障害をはじめ、すべての小児期に発症した障害のある方々を対象として、四天王寺和らぎ苑ではWHOの国際生活機能分類(ICF)に基づいた「6つのF」1)を大切にして、日々の支援やサービスを行っています(図2)。

図2 6つのF(Rosenbaum,2012)
図2 6つのF(Rosenbaum,2012)

四天王寺和らぎ苑が
掲げる6つのF

Function[ 機能 ]

どんな重い障害があろうとも、医療、リハビリテーションやケア、環境支援を通じて機能が発揮される機会を提供し、できることの喜びを支援します。

Family[ 家族 ]

育児やケアがより最適なものとなるように、ご家族に寄り添いながら協働するとともに、ご家族が望む生活の実現を将来にわたって支援します。

Fitness[ 健康 ]

呼吸、摂食嚥下、消化排泄など健康にかかわる機能の促進・維持を図り、日常生活や社会参加が健やかに継続できるよう支援します。

Friends[ 友だち ]

さまざまな人とのつながりのために、仲間と共有、共感できる居場所づくり、コミュニケーションの拡がりを支援します。

Fun[ 楽しみ ]

さまざまな活動の経験を保障し、限定された好みでなく、多様なことが楽しめ、楽しみを選ぶ意思決定を支援します。

Future[ 未来 ]

利用者の方々とそのご家族、そして四天王寺和らぎ苑職員、すべての未来に向けて、自立と自己実現が達成できるよう、ともに歩んでいきます。

6F
  • Rosenbaum P,Gorter JW.The ‘F-words’ in childhood disability : I swear this is how we should think! Child Care Health Dev 2012; 38: 457-63.